Ring-rie's Jazz CD Review Vol.1

 ♪ 60年代名盤など
new!! Jackie Mclean Dexter Gordon

 「ジャズ行き当たりばったり」のほうは、CDのクレジットなどの記入に手間取り、なかなか更新ができませんので、ブログ感覚で更新して行きたいと思い、新たなページを作りました。
 今までのページと内容もスタンスも変わりばえないですが…なるべく多く更新をしていきたいです。
 

   Jacknife/JACKIE MCLEAN

JACKIE MCLEAN (May 17 1931(1932?) - March 31 2006) alto saxphone

 ジャッキー・マクリーン(JACKIE MCLEAN)といえば一番有名なのはやはりあの「レフト・アローン」での演奏なのかもしれませんが、彼とマル・ウォルドロンはあのアルバムで有名になった分、かなり損をしている気がします。彼の名前を出して、「どんな人?」と訊かれたとき、「レフト・アローン」のサックスの人と言っていいものかどうか迷いますが、ついついそう答えてしまいます。かなり偏った印象を受けると思うのですけど。
 ただ、彼の出す音色は、「レフト・アローン」であれ、このアルバムであれ、ミンガスの「ピテカン」であれ、ほぼ同じだという気がします。 

 この「Jacknife」は1965年録音で、これより少し前に出た「Action」のやや硬質で抽象画のような作風がそのまま維持されてはいますが、かなり聴きやすい曲も入ったアルバムです。トランペットにチャールズ・トリヴァー(Charles Tolliver)とリー・モーガン(Lee Morgan)の両方が加わっており、チャールズ・トリヴァーは彼のオリジナル2曲と他1曲に参加しています(3曲目に二人とも参加)。自分はトリヴァーのファンなので、ついつい彼のオリジナルである'On The Nile'や'Jacknife'に、彼らしい曲だなあと聴き入っています。

 ジャッキー・マクリーンはジャズを聴き始めたときに、少し気になる人ではありましたが、それほど聴きませんでした。わりと最近になってBNブルーノート)時代のかなりクセのある作品を聴き始め、90年代のCDも買って、これから彼の作品をどんどん聴こうとと思っていたのですが、残念なことに2006年に他界してしまいました。
 彼のスタンダード曲もバラードもいいですが、自分はこのアルバムや
「Action」の作風が気に入っています。60年代後半ならではの斬新さがあるように思うからです。このアルバムでのドラムはジャック・ディジョネット。「Action」でのビリー・ヒギンズも最高ですが、ジャック・ディジョネットもやっぱり期待通りでした。ピアノのラリー・ウィリス、ベースのラリー・リドリーは自分の知らないミュージシャンですが、この二人も息の合ったすばらしい演奏をしています。

 BNレーベルは今でこそ知的財産の宝庫となりましたが、このレーベルは経済的に大変困難な時期を乗り越えて現在に至っているのだそうです。このアルバムをはじめ、BNがミュージシャン達の冒険的な試みを積極的に受け入れたお蔭で、一部あまり売れ筋ではないにせよ、しっかり中身の詰まった名盤がたくさん生まれたのだと思います。
 ただ、BN名盤にタカラモノがたくさんあるのは知っていても、あまりBN贔屓になりすぎるのにも抵抗があります。自分が今興味があるのは、BN後の
ジャッキー・マクリーンの活動なのですが、正直言って何を買っていいのか分らず、雑誌や本で調べようかと思っているところです。 (2008年1月 岡崎凛) 

AbbeyRoad

    One Flight Up/DEXTER GORDON

DEXTER GORDON (Feb 27, 1923-Apr 26, 1990) tenor saxphone

これからデクスター・ゴードン(tenor sax)を聴こうという人が一番に買うのは、たぶん、これじゃないでしょう。このアルバムの裏(またはスリーブの中)には「Our Man In Paris」、「Go」のジャケットが並んでいます。そちらのほうが人気があります。しかし自分が妙に惹かれたのは、このアルバム最初の、当時としてはやたら長い’Tanya’というドナルド・バード(trumpet)の曲。LPで出たときは、A面これ一つでした。
これが好きと言っても賛同者はそんなにいないかも知れません。これよりは、2曲目のケニー・ドリュー(piano)曲の「Coppin' The Heaven」のほうがタイトにまとまっています。しかしどちらの曲も、寂寥感に満ちていて、ハードバップの名曲という感じです。3曲目ではゴードン節全開!、とは言いませんが、彼らしいゆったりした吹きっぷりです。

ジャケのクローズ・アップでパーソネルを紹介しておきます。

デクスター・ゴードンの着ているスーツはまるでドラマの「アンタッチャブル」で見たようなスタイルですが、このアルバムが録音された1964年頃には、ジャズもいろいろと転換期を迎えていたと思います。しかし、このアルバムは徹底してオールド・スタイルを貫いた感じがあり、それが端的に出ているのが、アート・テイラーのドラム。とくに長尺の1曲目の彼のパワフルな演奏がかっこいいのです。特に最初のサックス、トランペットのソロの盛り上げには、すごく気合が入っている感じ。ただ、ドラム演奏のスタイルはよく分りませんが、やっぱりこれは昔風の叩き方だと思います。自分はアート・テイラーの名前がアルバムのクレジットに並んでいても、特に着目したことはありませんでした。あ、またアート・テイラーなのねと思う程度。ところが、このアルバムの彼のドラムからは異様な緊張感が伝わって来る気がします。
理由は全く分りませんが、このアルバムのドラムがいいという意見は他でも読みましたから、私の思い込みだけではないと思います。ここから先は私の作り話ですが、ベースのニールス・ペデルセン(ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン)が当時18歳でこのアルバムに参加しているので、彼は奮起したのではないでしょうか? ハード・バッパーの先行きが不透明な中、このアルバムで彼一番の演奏をしようとしたのでは? 
真相は全く分りません。とにかくこのアルバムを聴いて、自分が一番楽しんでいるのは、アート・テイラーのドラムなのです。たぶん自分は彼の演奏の素晴らしさに気づいていなかっただけなのでしょう。それに、2管のバックでは、よく聴いたピアノ・トリオでの演奏と違うアプローチをするのも当然なのでしょう。

デクスター・ゴードンの演奏は、BNレーベル以降のヨーロッパ録音でもたくさん楽しめるのですが、自分はなぜかこのアルバムでの彼の演奏が好きなのです。基本的に「余裕と円熟」という感じの作品があまり楽しめない性分なので、デクスター・ゴードンの名演についてはほとんど何も語れません。暮れ行く空を見ながら聴く彼のゆったりしたサックスは最高のムードを作ってくれでしょう。でも自分が好きなのは、上に書いたように、独特の寂寥感を湛えた演奏なのです。
(2007年11月 岡崎凛)

 
 
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