DOMANI

マウロ・パガーニ

DOMANI
ー明日ー

 

91年のPASSA LA BELLEZZAから12年ぶりのMAURO PAGANI の新作DOMANIが届いた(サウンドトラックとしては97年にNIRVANA)。
期待と不安の中、アルバムを眺めながら、針を落とす?スイッチをON。一曲目からタイトル曲となるDOMANI。正直最初は、ズッケロがゲストかとも思ってしまった。美しいバラード調の曲である。
ハスキーボイスが功をなしすばらしいの一言。バックを支えるオーケストレーション(ストリングス)が心地いい。ときどき顔を出すパーカッションは絶妙である。アルバム全体の印象は、音楽アプローチを聞くと、あれBATTIATO〜誰かににてる?なんて感じるところがいくつかあるが、PAGANIの楽器と化した声がすべてを打ち消してしまう魅力を感じる。
使用楽器は、地中海(1stソロ)〜からお決まりのブズーキ、当然フルート。しかし、なんと全曲バイオリンを弾いていません。ショック・驚き。又、顔の広さから、見事なゲストの数。ボーカルに専念した様に聞こえるこのアルバム、実はPAGANIの本来の姿なのかも。
ヨーロッパ文化の中のクラシックの流れからいくと、楽器は声を支えるものであり声そのものが神なのである(いいすぎか?)。
このアルバムこそ、パガーニの求めていた姿なのだ。PFM時代のボーカルパートとは、 ぜんぜん違う。若いころは、焼肉が一番だったが、今は、焼き魚が好きだと言わんばかりのアルバム。ちなみに、現PFMとの接点を多く感じるのだが…。
曲順は、パガーニ本人によるものと、思うのだが、イタリア人がフランス料理をこよなく愛し、前菜が勝負と言わんばかりの曲順である。中間部でメインディッシュとなり、最高のデザートでシメとする。当然メインディッシュは、魚(地中海1stは肉だった)。
新譜でありながら、なかなか手に入らないアルバムであるが是非とも聞いてほしい。次期PFMには、パガーニの姿を期待していたが、是非ともソロで、きてほしい。

Mauro Pagani

01/DOMANI(メジャーコードのみのシンプルな美しいバラード)
02/PER SEMPRE(ミドルテンポの曲、ユッスンドール・現ピーガブを思わせる)
03/PAROLE A CASO(美しいバラード)
04/THE BIG NOTHING(スローテンポの曲)
05/FRONTE FREDDO(スローテンポの曲・現ピーガブを思わせる)
06/NESSUNO(地中海音楽)
07/FINE FEBBRAIO(スローテンポの曲・ジャズ的アプローチ)
08/SARA' VERO(地中海音楽・BATTIATOっぽい)
※一曲目は、普通これでしょうって感じ。
09/ALIBUMAYE'(バラード)
10/GLI OCCHI GRANDI(ギターのよる弾き語り・アルペジ部分は、out of a roundabout)
11/QUIERO(ラテン調の曲・スローテンポの曲)
12/PSYCHO P.(打ち込み主体の曲・BATTIATOっぽい)
13/DING DING(弾き語り)

ゲスト
ELE VALDES/voce
LIEN DIAZ/voce
RAIZ/voce
CARLOS ALFONSO/voce,basso
EQUIS ALFONSO/voce,tastiere
MORGAN/voce,pianoforte,tastiere
LUCIANO LIGABUE/voce,chitarra acustica
ANGELA BAGGI/backing vocals
MAX GABANIZZA/basso
FLAVIO ZANON/basso
ERMANNO CARTA'/basso
ASH/basso
JOE DAMIANI/batteria
LUCA SCARPA/pianoforte
EDOARDO DE ANGLIS ENSEMBRE archi
ONEY CUMBA'/percussioni
EUGENIO DORIA/batteria
JOSE' LUIS ALMARALES/chitarre
ESTEBAN PUEBLA/tastiere
MAX COSTA/ed.loops,sounds,programming
MOHSSEN KASSIROSAFAR/daf e zarb
VITTORIO COSMA/hammond, wurlitzer
MARCO BRIOSCHI/tromba
GIORGIO CORDINI/chitarra
MAURO DI DOMENICO/chitarra classica

2003.8
寺澤裕久

 

補足、または蛇足
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(P.F.M.)は、70年代のイタリア、及び、プログレッシヴ・ロックのひとつの頂点。
2002年5月の来日で、「現役」であることを証明してくれました。
「音楽やっていて、今が一番楽しい」と、メンバーそれぞれが口にしていたのが記憶に新しく、且つ、印象的でした。
今回、SCOPEのリーダー、寺沢君が紹介してくれたのは、そのP.F.M.のかつての中心人物、マウロ・パガーニのソロでの新作です。
P.F.M.時代は、鬼気迫るバイオリンと狂気のフルートを持つ、バンドきってのハンサム・ガイでしたが、75年頃、バンドが政治的を強め(当時のイタリアのミュージシャン全体の傾向)、世界市場を目指すようになるのと時を同じくしてP.F.M.を脱退。ファースト・アルバム“Mauro Pagani”で聴かれるような「地中海」を自らのルーツとして、その音楽の発掘、制作に向かいました。
ここで聴く「地中海の音楽」は、極東に住む我々からすると、アラブ=イスラムのリズムとメロディを感じてしまうのですが、地中海の半分以上は「アラブ世界」なのでした。
アラブ系のフランコ・バッティアートが、イタリアで人気があるのも、そういう底流があるのだと思います。

天木祐治