色褪せない_作品たち

Pigbag/ Scritti Politti/ Dulce Pontes/ Jaco Pastorius/Sea Level

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DR.HECKLE AND MR.JIVE/PIGBAG

1.Getting Up 2.Big Bag 3.Dozo Don 4.Brian The Snail 5.Wiggling 6. Brazil Nuts 7. Orangutango 8. As It Will Be 9. Whoops Goes My Body (Bonus) 10. Sunny Day (12"version)(Bonus) 11. Another Orangutango (Remix)(Bonus) 12. Papa's Got A Brand New Pigbag (Bonus)

Chip Carpenter (dr,prc), Simon Underwood (b,cello,vl,prc), James Johnstone (g,as,prc),Ollie Moore (ts,clarinet), Chris Lee (trumpet,prc),Rodger Freeman (prc,trombone,key,p), Chris Hamlyn(clarinet,bongo)* *'Papa's Got A Brand New Pigbag'(bonus track) only

 どこかのサイトでPigbagのことを、「東京スカパラよりかっこいい」と表現している人がいて、今はそういう捉え方をするんだなと、何やら感心してしまった。ノリのいいリズム、スピード感溢れるカッティングギターとベース、そこにファンキーなサックスが暴れまくる音楽が好きな人は、このアルバムにほぼ満足できると思う。こうしたファンを想定してか、ボーナストラックにはそれなりにキャッチーなヒット曲が選ばれている。
 チンドン屋的ドタバタ感溢れ、かつフリージャズ趣味も入った彼らの演奏はかなり好きだった。このアルバムのCD化を聞いて大喜びで買ったが、その後聞いた話では、外資系CDショップに廉価輸入盤として並んでいたという。CD化の潜在的な需要は増加していたらしく、ちゃんと聴き直したいと思ったのは、自分ばかりではなかったらしい。
 ライナーノートを読んで、このグループ結成のいきさつをちゃんと知った。1980年英国Cheltenhamの音楽好きな美術系の学生たちが、当時かなり有名になっていたThe Pop GroupのSimon Underwoodの脱退を知り、Chris HamlynがJames Johnstoneを連れ、一面識もないUnderwoodを加入させようと口説きに行ったのだという。彼らは何をするにも、クソ真面目なデタラメさが信条であるようだ。(その後Chris Hamlynは美術の勉強に専念するため、最初に脱退してしまった)
 以下、ライナーノートを基に彼らの活動略歴を紹介する。1981〜82年にファーストシングル'Papa's Got A Brand New Pigbag'が売れ、米国に渡ってライブハウスに出演、セカンドシングルとデビューアルバムを発表。多くのファンは'Papa's …'ばかり聴きたがり、他の曲に耳を傾けさせたいメンバー達はいらいらしたという。この曲はついにメジャーヒットとなり、ファン層を広げ、英国と欧州で大々的なライブツアーが行われる。だが長々としたツアーに幻滅したRodger Freeman が脱退。
 その後新メンバーが加入し、82年7月に来日。その後またメンバーが変わり、セカンドアルバム'Lend An Ear'は出したものの、グループは長続きせず、83年に解散。
 デビューアルバムにシングルカットの4曲を加えたこのアルバムからは、キューバンジャズ、アフリカ音楽その他のゴタ混ぜをベースにし、メンバーが音作りと即興をとことん楽しむ様子が感じられる。ただ埋め尽くすだけでない、均整の取れたアドリブ、ずば抜けたリズム感。こういう良質の音を生む環境が維持できなければ、バンド活動を続ける意味は見出せなかったのだと思う。
(Track1-8、11は1982年、9、10、12は1981年、Y Records から発表。2000年9月にBMG Entertainment UK & Ireland Ltd.よりCD化された。)

岡崎凛

Anomie & Bonhomie / Scritti Politti
VJCP-68129

Green Gartside(vocal, guitar)
Abe Laboriel JR and Juju House (drums)
Allen Cato (guitar)
Rappers: Mos' Def, Lee Majors, Me'Shell Ndegeocello

 Scritti Politti と言えば、まず思い出されるのがGreen Gartsideのキャンディ・ヴォイスだろう。そんな彼の熱心なファンなら熟知していることだが、彼の音楽活動歴の一部を拾ってみたい。
 1977年、Fred Maher,David Gamsonの2人と共に結成されたScritti Polittiは、Rough Tradeレーベルからシングルを発表し、徐々にヒット・チャートを賑わせるグループになっていった。82年末に発表されたアルバム'Songs To Remember'は、ブラック・ミュージックに大きく影響された良質ポップスという資質を備えながら、コマーシャリズムを排した実に新鮮な作品だった。この頃のGreenの作品には、いろんな点で社会への批判的な見方やアヴァンギャルド性が見え隠れしている。
 Green Gartsideは必要以上にルックスが良かったので、インディーズ・シーンでの活動よりも、スター性の方が重視されてしまった向きがある。彼はその後もマイペースに音楽活動を続け、Miles Davis をはじめ、数々のブラック・ミュージック界の著名人が彼のレコーディングに参加した。
 その後は飽和状態に陥ったのか、10年ぐらい作品を発表していなかったが、1999年に突如アルバムをリリースした。それがこの'Anomie & Bonhomie'である。David Gamsonがミキシングを担当し、ラッパー2人が参加したこの作品について、Greenは、「何もしなことに退屈して」作ったと言っているが、それならもっと個人的趣味を全面に出してよかったのではないだろうか?いかにも2000年らしい味付けがされたいくつかの作品は、器用にまとまり過ぎ、Greenらしさが出るにはひと工夫足りない気がする。だが透明感のある構成的で美しい曲を聴くと、やはり彼の作品は英国上質ポップスの手本だと感じる。
 しかし正直言えば、2001年に聴きたいアルバムとしては、CD再発が望まれる'Songs To Remember'の方を推したいところだ。'Anomie & Bonhomie'の完成度の高い作品もそれなりに楽しめるが、ウッドベースを使うなど、素朴な音作りをしていたファーストアルバムの衝撃には及ばない。Greenの今後の活動に身勝手な希望を言うつもりはないが、'Songs To Remember'は絶対にCD化すべきだと思う。そしてその時期は、今しかないと確信している。

岡崎凛

いまだにさめない強い音楽
“ドゥルス・ポンテス” Dulce Pontes

 ドゥルスの音楽にはこころが和み、その奥には、本来人間が持つ強い意志が伝わる。
 ドゥルスを知ったのは、大型CDショップで、アートワーク(ジャケット)に感動し購入。ジャケット買いと言うやつ。
 ひさしぶりに中身と比例している、いや音の方が数段上。
 ポルトガル語で歌っているので、日本語版がでるのを期待し、待つや半年、すぐ購入。
 歌詞は、母国ポルトガルの旧体制を倒した無血革命をテーマにした曲から、ファドをモチーフにオリジナリティーを出した曲まで。CDの帯になんと日本公演が…こんな早くにみれるとは、いつものごとく東京公演(渋谷オーチャードホール)のみ、すかさず予約をしコンサートで生の音を聴く事ができた。
 仕事がら毎年50本ぐらいコンサートにはいくが、鳥肌が立つ程感動したのは、ひさしぶりだ。
 音は最高、パフォーマンス・照明なにをとっても抜かりがなく時間がとまってほしいほどだった。
 ドゥルスを知ってから3年、いまだにさめない感動を、是非一度きいてほしい音楽です。
 プログレ好きのわたしが、民俗系の音楽にはまり、今のところ頂点を見た感じがします。日本で手に入るアルバムは、5枚ありますが、“プリメイロ・カント”が最高。

寺沢裕久


“プリメイロ・カント”
来日プログラム
 

サンディ・デニー/ゴールド・ダスト・ライヴ
アイランドレーベル、1998年
Sandy Denny/'Gold Dust'Live At The Royalty

Sandy Denny(vo.),Dave Mattacks(ds.),Pat Donldson(bass & b.vo)Pete Wilsher (steel guitar),Trevor Lucas(a.guitar & b.vo)Jerry Donahue,Rob Hendry(e.& a.guitar),Simon Nicol & Chris Leslie(b.vo.)

 イギリスを代表するフォーク・グループ、フェアポート・コンヴェンションの元ヴォーカリスト、サンディ・デニーは、78年に階段で転倒するという不運な事故で死んだ。これはその5ヶ月前のライブ盤である。
 このCDは2年前、レコード・コレクターズ別冊「遺作」で紹介されていたもの。20年経過して初めて発売されたことが記されている。
 かつて偶然聴いていたラジオで、彼女の歌声を知った。初めて聴いたときが、訃報と同じになってしまった。彼女が亡くなり、ラジオ番組が特集を組んだのだ。特徴のある声は心に染み入り、サンディーの名は覚えたものの、レコードは長く手に入らないままだった。
 ある種の懐かしさが甦るだろうという予想ははずれ、聞こえてきた声は驚くほど新鮮だった。無駄な修飾はないのに、伸びやかな声に陰さと明るさが散りばめられている。「ゴールド・バスト」のリフに酔いしれ、20年以上の歳月の流れも忘れる。地味になりすぎることのないバックバンドの演奏も楽しい。特にギター好きには嬉しいアレンジである。

岡崎凛

 
Jaco Pastorius/JACO PASTORIUS
(日本盤タイトル/ジャコ・パストリアスの肖像)
Epic Sony/August1976

Jaco Pastorius(bass),Don Alias(perc),Herbie Hancock(kb),Lenny White(ds),Randy Brecker(tr),Michael Brecker(t.sax),David Sanborn(a. sax),Howard Johnson(b.sax),Narada Michael Walden(ds),Wayne Shorter(s.sax),Etc.

 このアルバムを聴かせてくれた友人は声を弾ませた。
「『ドナ・リー』なんだよ、これ!」ベースにコンガだけを加えたオープニング曲。いつものことながら、彼の大胆な発想に圧倒される。そこに賑やかな多管編成のフュージョンサウンドが続く。みずみずしいベースに応えるハンコックのピアノは、いちだんと切れ味が冴える。変化に富むスチール・ドラムの音色とショーターのサックスの融合は、ジャコの計算通りだろう。これを聴いたせいで、彼には異常なほど期待してしまった。だから、続くアルバム「ワード・オブ・マウス」に納得できなかった。冷静に考えれば、彼にとってごく自然な発展だったのだけど…。
 トゥーツ・シールマンズのハーモニカが気に入らなかったわけではない。明るい独特のムードのビッグバンドが嫌だったのではない。ただ、彼にはもっと他の道が開けているように思えてならなかった。
 それから数年後、彼の訃報を聴いた。なんとも気が滅入った。
 後になって思えば、チャーリー・パーカーも、バッハも、コルトレーンも、彼のユーモアを溢れ出させるアイデアの一つに過ぎなかった気がする。彼は過去の名曲でも何でも、面白いと思えば取り入れて、自分の色に染め上げてしまった。
 彼にもっと硬派のジャズを望んでいた私には、それが気に入らなかった。だから目をそむけた。そして2001年になって、彼の音楽がこれほど新鮮に思える日が来るとは、まるで予想できなかった。
 このアルバムを含め、ジャコ・パストリアス作品の評価はとどまることを知らない。音楽ジャンルを越えた支持者が彼を聴きつづけている。

岡崎凛

 
Sea Level/ON THE EDGE
(Capricorn Records/1978)

Randall Bramblett(sax,vocal),Davis Causey(g.),Chuck Leavell(kb.,pec.,vocal),Joe English(ds.),Jim Nalls(g.),Lamar Williams(bass)

 シー・レヴェルは、元オールマン・ブラザーズ・バンドのチャック・リーヴェルとラマー・ウィリアムズを中心として1976年に結成され、キャプリコーン・レーベルから数枚のアルバム(LP)がリリースされた。最近、外資系大型CD店で、このアルバムを含め輸入盤4枚が並んでいるのを見かけた。
 サザン系ロックの持ち味であるブルース・カントリー色を残しながら、ジャズ、フュージョンに傾倒し、演奏の完成度は高いが、テクニックに頼りすぎない音づくりが持ち味。しかし、ジャズを起点とするフュージョンとはかなり異質だったため、ジョージ・ベンソンやG・ワシントンJr.等のファンには興味の対象外だったようだ。さほど知名度の高いグループではなかったと思う。また、オールマン時代の音からかなり離れていたから、昔のファンが求めた音楽とは違ったかもしれない。
 全てがそうだったわけではないが、当時のフュージョンには早くもマンネリズムの影が見えはじめ、超人的テクニックのことばかりが話題になっていた。だから、シー・レヴェルの演奏には、何やらほっとした。
 このレコードを聴いたとき、彼らは極めて自然にこの音楽に行きついたのだろう、という気がした。だがその演奏は、綿密に構成されている。このアルバムでは、泥臭さを排しながらも、どこか土の香りがするアレンジがほどこされている。ピアノはニッキー・ホプキンズがジャズに近づいたような音。ブルース臭を押さえた歌に、さりげなくサックスが続く。サザン系ロック独特の、ツボを押さえたギターを披露するのは、デイヴィス・コージーとジム・ノールズ。
 オールマン・ブラザーズのファンには、続くアルバムの"Long Walk on a Short Pier"の方がおすすめかもしれない。ブルース路線復活かと思わせるオープニング曲と、「ブラザーズ&シスターズ」風のラスト曲を聴くことができる。
 R・ウィリアムズは惜しくも他界したが、C・リーヴェルは現在もセッション・ミュージシャンとして活動中であるらしい。

岡崎凛