No.6
 
Tone Jansa Quartet
featuring Woody Shaw /
DR.CHI

Woody Shaw-tp,flg,Tone Jansa-ts,ss,Renato Chicco-p.Peter Herbert-b Alexander Deutsch-dr.
1.Dr.Chi2.Odra3.Stroll and Flight4.Nostalgia5.Chain6.Zoltan(1,6-composed by Woody Shaw/2,3,4,5-composed by Tone Jansa)
Radio Ljubljana,Yugoslavia;July27-28,1986(Timeless CD SJP241)

 これはオランダのタイムレス・レコーズのサイトで試聴し、メールオーダーしたものです。届いてみると、ジャケットに印刷されたプレイヤーの名前がWoody ShawとTone Jansaだけだったので、他の3人の名前は、Todd Poynor氏によるA Critical Discography of Woody Shawから転載させていただきました。
<http://www.wnur.org/jazz/artists/shaw.woody/discog.html>
(ここの評によれば、これより約2年前に出たWoody Shaw と同カルテットのアルバムと比べ、アドリブの内容もJansaの曲の出来も、このDr.Chiの方がはるかに満足できるとのことです。)

 Woody Shawがヨーロッパ・ツアーの間に地元プレイヤーと競演したアルバム、ということになるのでしょうが、これが思いがけず、非常に充実した内容。Tone Jansa Quartetは綿密な構成の曲を見事に演奏し、ビッグネーム・アーティストをサポートするにとどまりません。Woody Shaw以外知らないプレイヤーばかりでしたが、ドラムスのAlexander Deutsch以外について調べることができました。
 リーダーでありサックス・プレイヤーのTone Jansaについては、なかなか情報が得られませんでした。昨年やっと見つけた彼の公式サイトらしきページも今は閉鎖されているようです。(Jansaの正式な綴りが特殊標記であることも、探しきれない理由かもしれません)スロヴェニア出身で、オーストリアのグラーズでクラシックとジャズを学び、ボストンに渡ってバークリー音楽大学に入学。帰国後RTVリュブリャナ・ビッグバンドに参加。その後も近隣諸国の都市で活動し、Woody Shawとの競演のチャンスを得たようです。現在もグラーズの音大で教える傍ら、演奏活動をしているようです。
 アルバム2曲目の彼のオリジナルを聴いたとき、まず感じたのは、日本のジャズプレイヤーの曲調に酷似しているということでした。彼のソプラノ・サックスから、渡辺貞夫や山口真文を連想してしまうのです。叙情性に溢れ、適度にキャッチーなメロディーに惹き込まれます。それにしても、旧ユーゴのスタジオ録音のCDを聴いて、昔のFM番組(「渡辺貞夫マイ・ディア・ライフ」)を思い出すとは、まさかの体験でした。
 ベーシストのPeterHerbertはアルプス山中のBludenz出身で、Jansaと同じくグラーズ大学とバークリー音楽大学に在籍。ジャズのみならず、クラシックの演奏家としても高い評価を受け、ニューヨークとヨーロッパ、日本を行き来し、96年からはNoise of 3というトリオで活動しているそうです。(最新情報は得ていません)このアルバムでは、全体とと調和しながらも、前面に躍り出る個性的なベースを披露しています。
 ピアノのRenato Chiccoは、Jerry Bergonziのカルテットに参加して2000年6月に来日しています。このアルバムの演奏でまず連想したのはMcCoy Tynerのピアノでしたが、ソロパートは変化に富み、何々流という分類はできません。彼もまたバークリーで学んだ経歴を持ち、東欧を活動拠点のひとつにしているピアニストということです。
 タイムレスレコードのサイトに試聴サービスがなければ、このアルバムと出会うこともなかったでしょう。日本で紹介されているかどうかは全く分かりませんが、ドイツ語のジャズ関連サイトでこのアルバムの紹介を見かけました。ヨーロッパにはこのアルバムを愛聴しているファンがけっこういるのかもしれません。演奏内容は濃いのに、後口はとても爽やかなアルバムです。

(Oct.2001)
岡崎 凛

Andy Summers/GREEN CHIMNEYS
-THE MUSIC 0F THELONIOUS MONK

1.Green Chimneys2.Hackensack3.Brilliant Corners4.'Round Midnight5.Bemsha Swing7.Shuffle Boil8.Boo Boo's Birthday9.Evidence10.Ugly Beauty11.Think of One12.Light Blue/Rhythm-a-ning13.Ruby My Dear14.Off Minor15.Ruby Minor (Alternate Version)*(*Bonus)
Players:Andy Summers-guitar,Banjo,Dobro/Dave Carpenter-Upright & Electric basses/Peter Erskine-Drums/Sting-Vocal on 4/Hank Roberts-Cello/ Joey de Francesco-Hammond B-3 Organ/Steve Tavaglione-Soprano & Tenor Saxophone,Clarinet/Walt Fowler-Trumpet/Bernie Dresel-Drums on 8&12
Recorded September to November 1998 RCA BMG Entertainment /VCJ-31013

 元ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズのジャズ界での活動についてはあまり知らなかったのですが、このアルバムが全曲モンク作品というのに惹かれました。「ジャズ批評」にも紹介記事があり、まずまずの評価を受けているようですが、ギター好き、またはモンク好きのどちらでもない人には、あまりお薦めできません。そのあたりについてはライナー・ノートにもある通りで、4曲目「ラウンド・ミッドナイト」のスティングの歌が聴きたいだけでこのアルバムを買うと、失敗するかと思います。
 アルバムの前半、奇妙な抽象画のような世界に引き込まれ、スティングの歌でほっと一息つき、しばらく聴いていると、正直なところ、ちょっと聴き疲れしてきます。やはり全曲モンクで埋まっていると、ダークな色調が続きすぎるようで、リスナーにも多少根気が必要です。
 演奏は曲それぞれに凝った工夫がされ、プレイヤーの技術は文句なし(特にベースのデイヴ・カーペンター)ですが、何かが欠けているという思いが残ります。最近のジャズの新譜に多いことですが、これがライヴだったら、多少の荒さと引き換えにもっとスリルに満ちた作品になったのではないか、と考えてしまうのです。ただ、アンディ・サマーズのギターを聴いていると、彼のモンクへの愛着と幸福感が伝わってきます。このアルバムのリリースを一番喜んだのは、サマーズ本人でしょう。

(Oct.2001)
岡崎 凛


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