No.7
 
The Philadelphia Experiment
/THE PHILADELPHIA EXPERIMENT

1.Philadelphia Experiment(Uri Caine) 2.Grover (Uri Caine) 3.Lesson #4(Uri Caine,Ahmir Khalib Thompson,Christian McBride) 4.Call For All Demons(Sun Ra) 5.Trouble Man Theme(Marvin Gaye) 6.Ain't It The Truth(Eddie Green) 7.Ile Ife(Sharman Ferguson) 8.The Miles Hit(Uri Caine, Ahmir Khalib Thompson,Christian McBride) 9.(re)MOVEd(Uri Caine,Christian McBride,Aaron Luis Levinson) 10.Philadelphia Freedom (Elton John,Bernie Taupin) 11.Mister Magic Washington(Ralph McDonald,William Salter)
Uri Caine(Electric & Acoustic Piano & Hammond B-3 Organ),Christian McBride(Acoustic & Electric Bass),Ahmir Khalib Thompson (Drums)Pat Martino(Electric Guitar) on 1,2,4,John Swana(Trumpet) on 1,5,Larry Gold(Cello)on 10
Recorded & Mixed at The Studio Philadelphia, PA. form September 25-27,2000
93042-2 Ropeadope Records(Atlantic)

 そのうち買おうと思っていたクリスチャン・マクブライドのリーダーアルバムを買わないうちに数年過ぎ、先日このアルバムを見つけて買ってしまいました。このグループ、フィラデルフィア・エクスペリメントの3人のについては、日本のジャズファンの間での知名度ではマクブライドが一番でしょうが、アルバム作りのアイデアを多く提供しているのは、ピアニストのユリ・ケインのようです。しかし、タワーレコード店内の手書きの紹介文以外、このアルバムの紹介を見たことがないので、詳細は分かりません。また、このCDを聴くまでユリ・ケイン については全く知りませんでした。ドラムスのAhmir Thompsonについては、ヒップ・ホップ、R&B界で広く活躍中だそうです。
 ギタリストのパット・マルティーノも入っているのが気に入り、予備知識なく勢いで買ったところ、これが大正解。一曲目をはじめ、マイルス・デイヴィスとハービー・ハンコックへのオマージュに満ちた作品がいくつも登場。フュージョン風あり、マーヴィン・ゲイ、エルトン・ジョンありとアイデア満載。適度の緊張感とグルーヴ感があり、かつ新鮮です。適度にファンキーでポップな仕上がりですが、売れ筋狙いという感はありません。
 ドラムスがジャズ界の人でないことが、このアルバムの良さとなって出たようです。また、ベースのマクブライドは純正ジャズ路線(?)の人だと思っていましたが、間違った認識でした。エレキベースでも軽々と超人テクニックを披露。(もちろん彼はテクニックだけの人ではありません)こうしたリスナーの先入観を覆す実験性と、音楽フリーク達の飽くなき探求心と遊び心が結実した好作品です。
 今月買ったジャズ雑誌(ジャズ批評)の中で、やっとユリ・ケインの記事を見つけました。すでに興味深いリーダーアルバムを発表しており、これからの活動が多いに期待されます。次は実験的傾向少なめのピアノトリオ作品、'Blue Wail'を聴くつもりです。

(Oct.2001)
岡崎 凛

Soulive/TURN IT OUT

Alan Evans-drums Eric Krasno-guitar Neal Evans-hammond b-3 organ
1.Steppin' 2.Uncle Junior(live) 3.Azucar 4.Tabasco* 5.Rudy's Way** 6.Jesus Children(live) 7.Nealization* 8.So Live!***(live) 9.Arruga de Agua 10.Turn It Out*
John Scofield,guitar **,Sam Kininger,alto saxphone***,Oteil Burbridge,bass
Velour Recordings,Inc.
(録音時期は明記されていませんが、1999年録音のようです)

 Souliveはニューヨークのライヴスポットを中心に活躍するグループで、このアルバム発表後ブルーノートからメジャーデビューし、アルバム“Doin' Somethin'”を発表しています。雑誌の情報ではこちらのCDがかなり売れているようですが、彼らの全国的な知名度についてはよく分かりません。
 彼らの演奏の第一印象は、20数年前エリック・ゲイル率いるStuffを聴いたときと似ていました。「やられた!この手があったか」という感じです。音楽的にはかなり違うのですが、耳にダイレクトに飛び込む新鮮さ、という点で共通するものがあります。オルガンとギター、ドラムスの3人組。ファンキーでダンサブルな演奏が人気を呼び、ふだんあまりジャズを聴かないファンを含め、集客力は圧倒的らしいです。米国では録音機器持ち込みOKのライブが多く、ファンのグループメールを読むと、常にテープ交換やセットリストの話題で盛りあがっています(2001年10月現在)。また様々なミュージシャンとの競演でもファンを湧かせているようです。
 いわゆるジャムバンドの一つとして紹介されていますが、このアルバムのライナーノートにあるように、彼らはジミー・スミスとグラント・グリーンに代表されるR&B系オルガンとギタリストのセッションを、現代風にアレンジしている、という説明の方が分かりやすいでしょう。「彼らのやっているのは確かにパクリだが…彼らは昔からあるファンキーな音楽を、敬意をもって継承し、そこに誰も聴いたことがない『スパイス』を加えている」とライナーノートにあるように、スティーヴィー・ワンダーの曲を取り上げたり、浮遊感あるきれいなメロディーを聴かせたりと、様々な要素を盛り込んでいます。ジョン・スコフィールドの参加も話題材料ですが、エリック・クラズノのギターだけでも十分聴きごたえがあります。
 ブルーノートのアルバムにはサックス演奏を多く加え、タイトなジャズ路線の作品が多いのですが、この“Turn It Out”では乗りに乗ったライヴ演奏を聴かせ、ふだん通りの彼らに出会える気がします(実物を聴いたわけではないのですが)。一度聴くとやみつきになるリフとリズムが魅力。ぜひ再来日を期待したいところです。

(Oct.2001)
岡崎 凛


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