No.8

David Fiuczynski's HeadleSS TorSos /
'Amandala'

 

1. Amandala
2.Torsos Jungle
3.Shannon's Kitchen
4.Leftover
5.My Heavy Heart
6.Fall Out Shelter
7. Cherry Red
8. Pattern 178
9.Kiss That Whispers
10.purple

David 'Fuse' Fiuczynski (guitar), Fima Ephron (bass), Daniel Sadownick(percussion),Gene Lake (drums)
FUSE 8899-2

 これは純正ジャズ(?)志向の方にはあまり歓迎されない作品でしょう。このDavid Fiuczynskiは、Jimi HendrixやJeff Beckのリスナーには(かなりスパイシーな作品ですが)、一度聴いていただきたいギタリストです。David Fiuczynski(カナ表記では、フュージンスキ)のギターを初めて聴いたのは、2000年8月にBilly Heartの来日公演(大阪・緑地公園の野外ステージ)に行ったときでした。若いメンバーが多く、無国籍ゴタ混ぜ路線のジャズに圧倒されました。このときにツインネックのギターを弾いていたのが彼でしたが、ジャズ・ギターというよりはノイズ系のロックグループで聴くような演奏でした。久々に行ったジャズのライヴで、ニューヨーク最先端らしき音楽に遭遇し、ただ圧倒されるばかりでした。
 本番前、ピアノのDavid Kikoskiはステージ横の特設ドリンク売り場でウィスキーを飲みすぎ、一緒にいたベースの Santi Debrianoをうんざりさせていましたが、David Fiuczynskiは演奏前にウロウロするようなことはなく、終始まじめな感じでした。
 そのときは知らなかったのですが、この3人はBilly Heartのグループに参加するだけでなく、随分活躍しているプレイヤーだったのです。Fiuczynskiは雑誌「ジャズ批評」のギタリスト特集にも紹介されていました。しかし実物を見る限り、とても有名人には思えませんでした。
 ここに紹介する’Amandala’の前の作品、'Jazz Punk'にはBilly HeartとDebrianoが参加しています。視聴してみると、まるでジミ・ヘンがシタールを弾いているようなギターが聞こえてきました。こちらも遊び心溢れるけったいな作品(試聴で判断する限り)が多く、選択に迷いましたが、彼の率いるグループ、Headless Torsosが聴きたくて買ったのが、この'Amandala'です。ニューヨークではこのグループでライヴ活動が行われているそうです。
 第一印象では、渡辺香津美が酔っぱらったみたいな感じでしたが、ちゃんと聴くと、どんな形容も追いつかなくなりました。パーカッションのエズニック風アクセントにオールオーヴァーなギタープレイが延々と続き、売れ筋アルバムとは言い難い印象です。古臭い言い方ですが、ギター天国か、はたまた地獄か、という作品。もっとノイズで引っ張るかと予想しましたが、違いました。かといって、フュージョン系にありがちな、キャッチーなメロディーや爽やかさに逃げる手段には出ません。コアな路線ながら、かなり能天気な作品です。
 輸入盤を通販で買いましたが、ヴァージン京都店に行ったら、国内盤が出ていました。賛否両論あるでしょうが、これほどおもしろいギタリストは滅多に出てこないと思います。今後の活動が楽しみです。

(2002年10月)
岡崎凛 

Roy Haynes/
Birds Of A Feather,
A Tribute To Charlie Parker

1. Diverse
2. Ah Leu Cha
3. April In Paris
4. Moose The Mooch
5. Now's The Time
6. Rocker
7. Barbados
8. Yardbird Suite
9. The Gypsy
10. My Heart Belongs To Daddy
11. What Is This Thing Called Love?
12*. Scrapple from The Apple (*bonus track)
DREYFUS VACR-2052
date: September 11, 2001
Kenny Garrett (Alto Sax) Roy Hargrove (Trumpet) Roy Haynes (Drums) Dave Holland (Bass) Dave Kikoski (Piano)
VACR-2052

 このアルバムのことは全く知らなかったのですが、D.Fuczynskiの評で少し触れたピアニスト、Dave Kikoskiの名前があったのが大きな理由で買いました。Roy Haynes のリーダーアルバムであることには当然一目置くとしても、パーカー・トリビュートという歌い文句には、以前他のプレイヤーで騙されたことがあり、その点はあまり信用していませんでした。ところが聴いてみると、これが実に内容の濃い作品でした。こういう温故知新的企画にことさら興味があるわけでなく、チャーリー・パーカーの功績を云々する知識も全くないのですが、このアルバムは快作だろうと思います。
 その上、最近はとくに興味を感じなくなっていた(20年前は好きでしたが)Dave Hollandの演奏には躍動感があふれ、初めてちゃんと聴くRoy Hargroveのトランペットの音がみずみずしく、たまにはこういうCDも聴いてみるものだなあと、反省しました。
 CD NOWでHargroveを調べてみると、「ハードバップ志向の若き獅子」という紹介が最初にありました。Wynton Marsalisとの出会いがあってこの世界に入ったという話を知りました。こういう説明をすると、なんだか正統派まっしぐらという感じになりますが、古風なスタイルに固執する堅苦しさはなく、シンプルでしなやかな演奏です。多少ライナーノートの受け売りになりますが、Hargroveの持ち味と、Kenny Garrettのやや曲者的サックスとの対比が面白く、二人の人選が功を奏しているようです。ピアノのDave Kikoskiの演奏には、時おり渦巻くような激しさがあり(暴走はないですが)、ただならぬ可能性を感じます。
 アレンジ面での挑戦あり、リラックスした楽しさありで、ジャズの先人たちへのオマージュと彼の自分史を刻むRoy Haynesの好作品ですが、私としては、彼の温故知新的企画はこれで十分かと思います。身勝手を承知で言わせてもらえれば、こういう作品だと、これまでRoy Haynesから得た感動を回顧するには至りません。
 しかしそうした個人的な思い入れとは無関係に、このアルバムには引き込まれました。矛盾するかもしれませんが、もしもこのメンバーでのライヴが聴けるとしたら、万難を排して聴きに行きたいと思います。居直るわけではないですが、リスナーというのはこういう勝手なものではないかと思います。

(2002年10月)
岡崎凛 


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